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自賠責保険の慰謝料
1 自賠責保険とは
自賠責保険の正式名称は,自動車損害賠償責任保険といいます。
自賠責保険は交通事故被害者を最低限救済することを目的としたものであることから,自動車損害賠償保障法に基づき全ての自動車に加入が義務付けられています。
そのため,自賠責保険は,「強制保険」とも呼ばれています。
自賠責保険は上記のように被害者を最低限救済のためのものであることから,その保障範囲は「自動車事故によって他人の身体に損害を与え,法律上の損害賠償責任を負った」場合に限定されており,物的損害は補償範囲に含まれていません。
2 自賠責保険で保障される損害項目
自賠責保険では,傷害の部分の損害に関しては,上限120万円の枠内で,①治療費,②通院のための交通費,③休業損害,④傷害慰謝料などが一定額保障されます。
今回は,慰謝料に注目してみていきたいと思います。
3 自賠責保険での慰謝料の考え方
傷害慰謝料は,怪我をしたことで被った肉体的・精神的苦痛に対して支払われ補償です。
自賠責保険は,治療期間と,「実治療日数×2」を比較し,少ない方を通院期間とし,それに,4200円を乗じて,慰謝料を計算します(上限は治療費等を含めて120万円となります)。
例えば,3カ月間の治療期間中に30日通院したといった場合は,30日×2×4200円=25万2000円が自賠責保険から慰謝料として支払われることになります。
4 裁判基準と自賠責基準
自賠責保険は,最低限の補償をするというものであるため,いわゆる裁判基準と比較して低い基準となっています。
例えば,裁判基準では,3カ月間の治療期間中に30日間通院したといった場合は,53万円(赤い本別表Ⅱ)が慰謝料の目安金額となります。
自賠責保険の基準で算定した金額と27万8000円(53万円-25万2000円)もの差があるとのことになります。
そのため,自賠責基準で算定された慰謝料額で示談してしまうと,裁判などで適切とされている金額よりも低い金額で示談してしまうことになり,本来受け取れたであろう適切な慰謝料額を受け取らなくなることが多いです。
そのため,示談する前に慰謝料の金額などが適切か弁護士に一度ご相談いただくと良いと思います。